6月16日のU Sオープンの最終日、マケロイとデシャンボウの一騎打ちは、1m前後のパットを決めるかどうかで勝敗が決まった。このパインハーストで行われていたU Sオープン期間中、私は、毎日テレビにかじりついて観ていたが、とにかく難しいセッティングにしてあった。グリーンに乗ったと思ったボールは、ほんの1mの違いで、グリーン手前のフェアウェイに戻ってきてしまったり、グリーンオーバーしてしまったりする。しかし、そんな難しいショットが求められる中で、トッププレーヤー達はその素晴らしいアプローチ技術を私たちに見せてくれた。
優勝の行方は? というと、1つ前の組で回っていたマケロイは、最終ホールでこの日2度目のショートパットを外し、最終組のデシャンボウは1m強のパットを15番ホールで外していたが、最終ホールは難しい距離のあるバンカーショットを1mぐらいにつけると、そのパットを決めて優勝した。
私たちは、この世界トップクラスのドライバーの飛距離や、アイアンショットはなかなか真似できないが、1m前後のパットは決めることができる。どんなプレッシャーがかかっていようと、メンタルトレーニングすることによって、いつも通りに1m前後のパットを決めることは可能です。
トップクラスのプレーヤー達は、ほぼ全員、メジャートーナメントで勝つことを目標としています。それは、この2人、マケロイ、デシャンボウも同じこと。その強い気持ちがかえってプレッシャーになって、後半での1m前後のパットをミスさせてしまうのです。2人ともそれまでにもっと難しいショートパットを決め続けていましたが、優勝の結果が近づいて来るに従って、いつも通りに打てなくなっていきます。
ラウンドの中で、デシャンボウは、トーナメントを盛り上げるために、ギャラリーに話しかけたり、パフォーマンスしたりしていました。それはP G Aツアーを離れて、リブツアーに行ったことへのファンへの逆恨みを和ます意味もあったのでしょうが、それ以上に、ギャラリーと共にゴルフを楽しもうとしていたようにも見えました。最後の方は、ギャラリーも「U S A、U S A!!」とデシャンボウを盛り上げる応援に徹していた。一方のマケロイは、2011年以来のU Sオープン制覇という結果にこだわりすぎているように見えた。
それが目の前の1mのパットに集中できずに結果にこだわった結果なのかどうかは、私には分からないが、私たちが学べることはある。どんな大事なパットでも、普段と同じルーティンで、同じ心境でパットする。U Sオープンの優勝がかかった場面でのパットは、私たちは経験する機会はない(可能性はゼロではない)が、クラブのマッチプレーでも、友達とのほんの些細な勝負でも、あるいは、何もかかっていない普通のラウンドでも同じような心境で、同じようなルーティンで、大事にパットすること。普通のラウンドでも、「これはU Sオープンの優勝のかかったパットだ」と自分にプレッシャーをかけることはできる。そういう状況を自分で作り出しておいて、普段通りのルーティンと心境になれるようにいつも努力する。
もちろん、普段通りにパットしても、1mのパットを外すことがあります。P G Aプロでも平均的に1mのパットを十数回に1度は確率的には外すというデータが出ています。しかし、その失敗がメンタルでの準備不足や、迷いから来るものでないようにする。そうすれば、数%でも入る確率が上がります。とにかく、どんな状況でも、いつものルーティン、いつもの心境でプレーしたかどうか? それだけが大事で、結果は二の次ということです。結果に拘らず、常に今できることに集中する。それだけが大事なんです。マケロイがもし、いつものメンタリティーとルーティンであのパットを外したのであれば、仕方がないと諦めることができるはずですが、もし、心が目の前のパットに集中しておらず、久々のU Sオープン優勝という結果に集中してしまっていたとしたら、大きな後悔を残すことになったでしょう。
